瑠璃の宝石から考える レアアースの正体

趣味

 U-NEXTの株主優待でもらったポイントがあったので、アニメの
『瑠璃の宝石』
を見てみました。

 正直、最初は「鉱石がテーマのアニメ?」くらいの軽い気持ちだったのですが、これが思った以上に面白い。
 鉱石・地質・採掘といった一見地味なテーマを、かなり丁寧に、かつ分かりやすく描いていて、理系好きには刺さる内容でした。

 特に印象に残ったのが、「鉱石はどこから来て、どうやって集まるのか」という視点です。
そこから自然と、レアアースのことを考えるようになりました。

「瑠璃の宝石」を見て、レアアースを考えた

 レアアースとは

 レアアースとは、周期表の中のランタノイド15元素+イットリウム+スカンジウムを指す総称です。
 ハイテク製品には欠かせない材料で、EV、風力発電、スマートフォン、半導体など、現代文明の基盤を支えています。

レアアースはどこにある?

 レアアースは「特定の場所にゴロッと固まっている資源」ではありません。

  • 世界中の岩石・鉱石に、不純物として薄く広く存在しています
  • 逆に言うと、不純物としてしか存在しないとも言えます
より正しく言うと、単体の金属として塊で存在することはなく、複雑な鉱物の中に組み込まれていたり、微量に分散していたりします

 普通の金属鉱石は、マントルから上がってきたマグマが冷える過程で、「同じ性質の元素同士が集まる」ことで鉱床を作ります。

しかしレアアースは、

  • 仲間同士で集まりにくい
  • 他の鉱物の中に紛れ込みやすい

という性質を持っています。

マグマが冷えるとき、普通の元素は結晶の中にきれいに収まりますが、レアアースは原子のサイズが大きすぎたりして、普通の鉱物の結晶にはじき出されてしまいます(これを「不適合元素」と呼びます)。 その結果、最後までマグマの残りカスの中に濃縮されたり、イオン吸着型のように風化した岩石にくっついたりします。

レアアースを手に入れるには?

 その結果、レアアースを手に入れるには、

  • 大量の鉱石を砕き
  • 溶かし
  • 不純物の中からさらに不純物を選び出す

という、非常に手間のかかる工程が必要になります。

だから「レアアース」

 レアアースは、

  • 地球上に少ないから「レア」なのではなく
  • 使える形で取り出すのが難しいから「レア」

という資源です。

 

中国の強さ

鉱床の特殊さ

中国が強い理由の一つが、鉱床の性質です。

中国南部などにある「イオン吸着型鉱床」では、

  • レアアースが鉱石の結晶の中に閉じ込められておらず
  • 表面にカビのように吸着した状態で存在しています

そのため、

  • 岩石を細かく砕く工程をある程度省略できる
    という大きな利点があります。

長年かけた商業化技術

もう一つの理由は、時間をかけた国家戦略です。

  • 採算が合わず各国が撤退する中
  • 中国はレアアースの商業化を諦めなかった
  • 環境問題も含めて「実際に回る産業」にした

この積み重ねが、現在の圧倒的なシェアにつながっています。

 

例えるなら、レアアースは忍者

 ここで少し比喩的な話をします。

世界中の鉱石に潜伏するレアアース

レアアースは、

  • 特定の鉱山だけでなく
  • 実は近所の砂場にすら存在しています

ただし、量はごくわずかです。

正体を見極めるのは難しい

レアアースは、

  • 他の不純物と化学的性質が似ていて
  • 外見や物理的性質だけでは区別が難しい

まさに、一般人に完全に擬態した忍者のような存在です。

忍者里は見つかっている

中国のイオン吸着型鉱床や、南鳥島のレアアース泥は、

  • 「忍者が多く住んでいる里」

ではあります。

ただし、

  • 里を見つけた=忍者が味方になる

ではありません。

中国は忍者部隊を手に入れた

中国は、

  • 長年かけて忍者の見分け方を覚え
  • 交渉し
  • 部隊として運用できるようにした

その結果、現在の優位性を手に入れた、という見方もできます。

 

「瑠璃の宝石」で思いついたこと

温泉の話

「瑠璃の宝石」の最終回(13話)では、

  • 温泉には鉱物が溶け込んでいる
    という話が出てきます。

当然、

  • レアアースも微量ながら溶け込んでいるはずです。

水に溶けているなら楽なのでは?

直感的には、

  • 鉱石の中に閉じ込められているより
  • 水に溶けている方が抽出しやすそう

中国の鉱床と似た状態にも思えます。

でも、商業化は無理そう

調べてみると、

  • 濃度が低すぎる
  • 処理する水の量が膨大
  • 他の成分が多すぎる

という理由で、現実的な商業化は難しいようです。

調べて分かったこと

  • 知れば知るほど、レアアースで中国依存を完全に脱却するのは難しそう
  • 技術・経験・規模、どれも一朝一夕では追いつけない

ただし一方で、

  • もし画期的な技術が生まれ
  • レアアースを効率的に集められるようになれば
  • レアアースは「レア」ではなくなる

とも思いました。

昔は、

  • リチウムも
  • チタンも
  • アルミニウムも
  • 鉄ですら

扱いにくい「レアメタル」でした。

 人類はきっといつか、
「レアアース」という言葉すら時代遅れにするのでしょう。


「瑠璃の宝石」の主人公・瑠璃の地道で情熱的な活動を見て、そんなことを考えました。

 

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