消費税はなぜ日本で嫌われるのか

株日記

 今日は株式市場で食料品・小売セクターが賑わいを見せました。背景には「食料品の消費税ゼロ」という驚きのニュースがあります。

 現在、自民党内では次期衆院選の公約として、物価高対策を目的とした「飲食料品の消費税率を時限的に0%に引き下げる案」議論されています。さらに、1月16日に立憲民主党と公明党が合流して結成された新党「中道改革連合」は、基本政策の柱として「食料品消費税の恒久的なゼロ化」を掲げました。

 消費税は導入以来、常に「不人気な税」の筆頭です。しかし、この議論を単なる「減税の是非」で終わらせず、一度立ち止まって考えてみたいのです。

 消費税は本当に制度として欠陥があるのでしょうか? それとも、日本の社会構造とのミスマッチが問題なのでしょうか。

そもそも消費税とはどんな税なのか

 消費税は、特定の所得層に偏らず「広く薄く負担する」ことを目的とした間接税です。

 この税が「間接税」という形を取っているのには理由があります。
 企業の売上に税率をかけ、仕入れ段階で支払った税を控除することで、取引が何段階に分かれても税が二重・三重にかからない仕組みになっています。

 一見すると複雑ですが、実はこの方式はかなり合理的です。
 企業間取引が多い現代経済では、累積課税を防ぐためにこの仕組みが必要になります。

 もともとこの考え方はヨーロッパで発展した「付加価値税(VAT)」に由来します。
 世界的に見ると、消費税はむしろ「標準的で優等生的な税制」と言ってもいい存在です。

 

どうして消費税は「利益」に課税しないのか

 「付加価値税というなら、利益に課税すればいいのでは?」
 これは非常によくある疑問です。私自身も、最初はそう思いました。

 しかし、ここに大きな落とし穴があります。
 利益は、合法的にいくらでも調整できてしまうのです。

 設備投資を前倒しする、減価償却を厚くする、研究開発費を積む。
 これらはすべて健全な経営判断ですが、結果として利益は簡単に消えます。

 もし利益課税だけに頼ると、
 「まじめに投資する企業ほど税を払わず、動かない企業が残る」
 という歪な結果になりかねません。

 その点、売上と仕入れを基準にする消費税は、操作が極めて難しい
 だからこそ、世界中で採用されているのだと思います。

 つまり、消費税は「社会のインフラを維持するための、最も安定した会費」という側面を持っています。

 

日本のデフレと、消費税の相性の悪さ

 ここからが、日本独自の問題です。

 日本では長年、

  • 値上げは悪
  • 価格据え置きは美徳
  • コスト増は企業努力で吸収
    という空気が染みついてきました。

 この「デフレマインド」が残ったまま消費税を導入すると、何が起きるか。
 本来は消費者が負担するはずの税を、企業が被るという現象が起きます。

 例えば、とても簡単に数字で表すとこうです。

 100円で作った物を120円で販売。120円の10%の12円が消費税で持って行かれて8円が手元に残る(適正な世界)

 100円で作った物を110円で販売。110円の10%の11円が消費税で持って行かれて1円の赤字(日本のように世間が値上げさせてくれない世界)

 値上げできない。
 消費税分を上乗せできない。
 結果として、利益が削られ、場合によっては赤字になる。これが企業の成長を妨害しています。

 これは制度設計の失敗というより、
 制度と文化のミスマッチだと私は感じています。

 

「逆進性」という拭えない課題

 一方で、消費税が感情的に拒絶される最大の理由は、その「逆進性」にあります。 所得に関わらず同じ税率がかかるため、収入の多くを消費に回す低所得者層ほど、所得に対する税負担率が高くなります。今回、新党が「食料品ゼロ」を掲げたのも、この生活必需品への負担を緩和するためです。

 公平性を担保しようとすればするほど、事務コスト(軽減税率の管理など)が膨大になる。この「公平性と効率性のジレンマ」も、消費税議論を複雑にしています。

消費税に代わる案としての「決済税」

 「特定の業界や所得層に偏らず、社会全体で負担する」という考え方は間違っていないと思います。要は広く薄く社会全体にかかる新しい税制を考えれば消費税にこだわらなくて済むのではないか?と考えました。

 私が一つの代案として考えたのが、「決済税」です。

 考え方はシンプルで、
 クレジットカード、電子マネー、振込など、お金が動いた瞬間に極小の税をかける方式です。

 価格を上げる必要はありません。
 転嫁交渉も不要です。
 税はシステムが自動で徴収します。

 日本のように「値上げに心理的抵抗が強い社会」では、この方式のほうが現実に合っている可能性があるのではないでしょうか。

 取引回数が多いほど税が累積するため、中間流通が多い業界が不利になる恐れがある。また、現金をどう扱うかという問題も残ります。

 が、少なくとも「企業が消費税を被る」という構造は解消できます。

本当の解決策は「デフレマインド」からの脱却

 色々書きましたが、結局のところ、最大の問題は税制そのものではなく、
 価格を正当に上げられない社会の空気だと思います。

 良いものは高くていい。
 技術や手間には対価が払われるべき。
 サービスには価格がついて当然。

 「お客様は神様」という言葉も、本来は誇りを持って仕事をする姿勢を指していたはずです。
 それがいつの間にか、「安くて過剰で当然」という意味にすり替わってしまった。

 消費税の議論をきっかけに、
 日本がそろそろ“値上げを恐れない社会”に移行できるかどうか


 私はそこに、本当の意味での経済再生の鍵があるように思います。

 消費税をめぐる議論は、単なる減税・増税の話ではなく、私たちがどのような経済社会を築きたいのかという、文化的な問いを突きつけているのではないでしょうか。

 

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